チェリーシュリンプを迎えよう
水槽の準備ができたら、いよいよチェリーシュリンプを迎えます。
ここでは、シュリンプの購入から、届いたあとの確認、水温合わせ、水合わせ、そして水槽へ入れるまでを順番に紹介します。
初めてだと少し緊張するかもしれませんが、ひとつずつ順番に進めれば難しい作業ではありません。
何を基準にチェリーシュリンプの購入先を選ぶか
チェリーシュリンプは、実店舗でもインターネットショップでも購入できます。
初めて飼う方には、飼育方法や水合わせなどについて、困ったときに相談できる信頼できるお店を選ぶことをおすすめします。
※ネットでチェリーシュリンプを販売しているAtWellが言うのもなんですが、お近くに信頼できるショップがあれば、そこで実際のシュリンプを見て、相談しながら購入することが一番です。
できれば、実際のシュリンプを見て選ぼう
チェリーシュリンプは、同じ品種名で販売されていても、血統や選別によって発色、殻の厚み、模様、色の均一性など、そのグレードには大きな違いがあります。
そのため、実際の個体を自分の目で見て選ぶことが、もっとも確実です。
一方、インターネットで購入する場合は、実際に届く個体を一匹ずつ確認することはできません。そこで、購入先や品質を判断するひとつの目安となるのが、「台湾産」です。
シュリンプを探していると、「輸入個体」「国産」「自家繁殖」といった表示を見かけます。
なんとなく、「輸入=大量生産だから品質が低い」「自家繁殖=少数を丁寧に育てているから品質が高い」というイメージを持つかもしれません。
ビーシュリンプ系については、日本国内に世界有数のブリーダーが多数いらっしゃいますので、こうしたイメージもあながち間違いではありません。
しかし、チェリーシュリンプについては、そう単純ではありません。
チェリーシュリンプは強健で繁殖力も強いため、数を増やすこと自体はそれほど難しくありません。難しいのは、厳格な選別を行い、高いグレードを維持しつつ、さらにグレードを高めていくことです。
つまり、「繁殖させること」と「高品質な血統を作り続けること」は別の技術です。
なぜ台湾産をおすすめするのか
AtWellでは、チェリーシュリンプを購入するなら、信頼できる台湾の専門ファームで養殖された個体を強くおすすめします。
これは、AtWellが台湾産を販売しているから台湾産をおすすめしている、というわけではありません。
台湾産であることが間違いなければ、現在もっとも「ハズレ」が少ない選択肢だからです。
台湾産をおすすめする主な理由として、次のような点があります。
- 国を挙げて、チェリーシュリンプの品質向上や養殖技術の研究、輸出時の安全性向上に取り組んできた
- 現在世界で流通している主要な改良品種のほとんどが、台湾のブリーダーによって作出、あるいは改良されてきた
- チェリーシュリンプの人気が高く、コンテストも盛んなヨーロッパやアメリカへ広く輸出され、高い評価を得ている
- 高品質な個体でありながら、高度な養殖技術によって比較的手頃な価格で流通している
長年にわたって品種を生み出し、選別によってその品質を高め、さらに高品質な個体を世界へ安定して供給してきた、台湾の品種改良・選別・養殖技術は世界トップレベルにあるとAtWellでは考えています。
AtWellが契約している台湾のファームも、チェリーシュリンプの品種改良初期から活動し、ルリーシュリンプを生み出した、この分野では世界最高峰のファームのひとつです。そのシュリンプは、日本だけでなくヨーロッパやアメリカをはじめ、世界各国へ輸出されています。
※少しだけ、私たちの思いを語らせてください。
現在のチェリーシュリンプの世界を築いてきた台湾の先人たち、そして現在も高い目標意識と技術を持って、より美しく、より高品質なシュリンプの作出・養殖に取り組んでいる方々に、AtWellは深い敬意を持っています。
その技術と積み重ねにふさわしい評価が、日本ではまだ十分になされていないと感じています。
欧米で評価されているように、日本でも「台湾産チェリーシュリンプ」が高品質の代名詞として認識されるようにすること。
少し大げさに聞こえるかもしれませんが、それも台湾から直接シュリンプを仕入れ、日本で販売するAtWellのひとつの社会的使命だと考えています。
シュリンプが届いたら
それでは、シュリンプを購入して自宅に迎えたところから、実際の手順を見ていきましょう。
シュリンプが届いたら、すぐに袋を開けて水槽へ入れるのではなく、まずは状態を確認し、水温合わせ → 水合わせ → 水槽へという順番で進めていきます。
ひとつずつ行えば、難しい作業ではありません。
インターネットで購入した場合は、まず状態を確認しましょう
インターネットで購入した場合は、温度合わせを始める前に、まず届いたシュリンプの状態を確認しましょう。
輸送中は長時間密閉された環境で過ごしているため、甲殻類特有の保護色によって、普段より黒ずんで見えたり、逆に体色が薄くなっていたりすることがあります。
到着直後の色だけで判断せず、それを踏まえたうえで、注文した品種や匹数など、セット内容に間違いがないかを確認します。
このとき、パッキングを開封する前に、袋全体が分かる写真を一枚撮っておきましょう。
もし死着している個体が確認できた場合は、袋全体の写真に加えて、死着した個体がはっきり確認できる写真も撮影しておきます。
※死着保証の有無や条件は購入した店舗によって異なります。保証がない場合でも、到着時の状態を確認できる記録として、開封前の写真を残しておくことをおすすめします。
1.温度合わせ
状態を確認したら、まずは水温を合わせます。
輸送用の袋を開け、シュリンプと袋の水を、プラケースなど水面に浮かべることができる容器へ移します。
容器へ移したら、ここでもう一度シュリンプの状態を確認しましょう。
袋越しでは分かりにくかった個体も確認しやすくなります。横になっている個体はいないか、脚や触角を動かしているか、泳いだり歩いたりする個体がいるかなど、全体の様子を見ておきます。
このとき、開封後の状態が分かるように、シュリンプ全体の写真も撮っておきましょう。
死着している個体が確認できた場合は、その個体がはっきり分かる写真も撮影しておきます。
冬場、低温で届いた場合
冬場などに、袋の水温が10℃前後の低温で届いた際、シュリンプがほとんど動かず、場合によってはひっくり返って死んでいるように見えることがあります。
低温により冬眠のような状態になっている可能性があり、温度合わせをしてゆっくり水温が上がると、再び動き始めることがあります。
到着直後に動かないからといって、すぐに死着と判断しないようにしましょう。無理に触ったりせず、そのまま温度合わせをしながら様子を見てください。
夏場、高水温で届いた場合
夏場にシュリンプが高い水温で届いても、慌てて一気に冷やそうとしないでください。急激に水温を下げることが、かえってシュリンプの負担になる場合があります。
AtWellからの発送でも、夏場は輸送中の水温が28℃程度まで上がる可能性を想定して発送しています。
夏季の発送で保冷剤を入れているのも、輸送中ずっと低い水温を維持することが目的ではありません。水温が一気に上昇するのを抑え、シュリンプがゆっくりと温度変化に慣れていけるようにすることが目的です。
そのため、到着したときに保冷剤がぬるくなっていても問題ありません。夏場の輸送では水温が高くなることも想定したうえで発送しています。
シュリンプの状態を確認し、白く濁っていたり、体の一部が溶けたようになっていたりする個体が見られなければ、慌てて冷水や氷などで冷やさないでください。
通常どおり温度合わせを行い、水槽の水温へ向けてゆっくりと温度を下げていきます。
反対に、動かない個体が白く濁っていたり、体の一部が溶けたようになっていたりする場合は、その個体をすぐに取り除きましょう。
確認と撮影が終わったら、容器をそのまま水槽に浮かべ、ゆっくりと水温を合わせていきます。
プラケースなど適当な容器がない場合は、輸送用の袋をそのまま水槽に浮かべても構いません。
ただし、輸送用の袋の外側には、輸送中に付着した汚れなどが残っている可能性があります。袋の周囲をきれいに拭く、または水で洗うなどしてから水槽へ浮かべてください。
容器を水槽に浮かべたら、1時間程度そのままにして、水温をゆっくり合わせます。
※容器いっぱいまで水を入れてしまうと、シュリンプが水槽内へ脱走してしまうことがあります。水面から容器の縁まで2cmほど空けておきましょう。
2.水合わせ
温度合わせが終わったら、次に水合わせを行います。
水合わせの目的は、水槽セッティング編で触れたpHやGHなど、水槽の水質にシュリンプたちが慣れるためです。
基本的には、2時間ほどかけて、少量ずつ水槽の水を容器へ入れていきます。
難しく考える必要はありません。シュリンプたちに、「これから暮らすことになる水質を知ってもらう」ための時間だと考えてください。
厳密には、水槽の水と、今シュリンプたちが入っている水のpHやGHの「差」によって、必要な時間は変わります。
ほとんど差がなければ、30分程度でも十分な場合があります。反対に数値が大きく離れている場合でも、少量ずつ水槽の水を加えながら、2時間程度かけてゆっくり合わせて行けば問題ありません。
水合わせに使う容器と場所に注意してください
シュリンプと袋の水を移す容器は、3L以上の容量の容器を用意しておくと、水合わせの途中で水量が増えても余裕があります。
普段ほかの用途にも使っている容器を使用する場合は、使用前に水だけでよく洗ってください。
洗剤、漂白剤、殺虫剤などの薬剤を使用したことがある容器は、シュリンプの水合わせには絶対に使用しないでください。
できれば、水合わせや水換えなどに使うアクアリウム専用の容器をひとつ用意しておくと安心です。
重要:シュリンプのいる部屋では殺虫剤を使用しないでください
蚊取り線香、スプレー式の蚊取り剤、ワンプッシュ式の殺虫剤、電熱式の蚊取り器、虫よけスプレーなど、殺虫成分を含む製品は、シュリンプのいる部屋では使用しないでください。
これは水合わせをしているときだけの注意ではありません。シュリンプの入った水槽がある部屋でも同様です。
シュリンプなどの甲殻類は、殺虫成分に敏感に反応します。実際に、こうした製品の使用後にシュリンプが死亡するケースもあります。
この点については、「日常メンテナンス編」でも改めて紹介します。
水槽の水を少しずつ入れていきます
水槽の水を、30分かけて元のパッキング水量の半量ほど加えられるペースがひとつの目安です。
※AtWellでご購入の場合、20匹程度までは約800mlの水でパッキングしています。それ以上の匹数では、1.5〜2L程度の水量です。
そのため、30分で加える水槽の水は、800mlのパッキングなら約400ml、1.5〜2Lのパッキングなら約750ml〜1Lが目安です。
このペースで水槽の水を加え、増えた分を捨てながら水合わせを続けると、容器の中に占める水槽の水の割合は、おおよそ、
30分後:約33% → 1時間後:約52% → 2時間後:約75%
となります。
※水が均等に混ざり、増えた分の水を捨てながら、同じペースで水槽の水を加え続けた場合の目安です。
チェリーシュリンプは比較的強健で、幅広い水質に適応できるシュリンプです。このくらいのペースで2時間ほどかけて、ゆっくり水槽の水に近づけていけば、通常の水合わせとして十分です。
チューブを使う方法
水槽の水を容器へ入れる方法はいくつかあります。
アクアリウム用のシリコンチューブを使い、一方コックやローラークランプなどで流量を調整しながら、少量ずつ水槽の水を流し込む方法が便利です。
流量は、先ほど紹介した30分で元のパッキング水量の半量程度を目安に調整してください。
少し楽をするなら
チューブを使う場合は、バケツの中にプラケースを入れて水合わせをする方法もあります。
プラケースから水があふれても、そのままバケツの中へ落ちるため、水量が増えるたびに水を捨てる必要がありません。
流量を調整したチューブから少しずつ水槽の水を入れ、あふれた分はそのままバケツへ流します。
2時間ほどかけて水合わせをするときにも、比較的楽に行うことができます。
チューブなどがない場合
専用のチューブやコックなどがない場合は、次の手順で水合わせを行ってください。
- シュリンプを袋の水ごと、3L以上の容量の容器へ移します。
- 水槽から水を汲み、5分に1回、容器の水量の1/10ずつ加えます。これを5回繰り返します。
- 6回目以降は、容器の水を1/10捨ててから、同じ量の水槽の水を加える作業を10〜15回繰り返します。
※AtWellで20匹程度をご購入の場合は、約800mlでパッキングしていますので、最初は5分ごとに約80mlが目安です。
※インターバルが5分より多少長くなっても問題ありません。短時間にまとめて水を入れるのではなく、決めた量を少しずつ加えていくことが大切です。
また、長時間の水合わせを行う場合は、容器に弱くエアレーションをかけておくと、より安心です。
水合わせは長ければ長いほど良いわけではありません
水槽とパッキング水の水質が大きく違う場合や、より慎重に行いたい場合は、3時間程度かけても構いません。
ただし、水合わせは長時間行えば行うほど良いというものでもありません。
狭い容器の中で長時間過ごすこと自体が、シュリンプのストレスになる可能性もあります。
シュリンプの様子を見ながら、ある程度水槽の水に近づいたところで、水槽へ入れてあげる方がよいでしょう。
大切なのは、焦らず、少量ずつ、時間をかけて水槽の水に近づけていくことです。
水合わせが終わったら、水槽へ移します
水合わせが終わったら、いよいよシュリンプを水槽へ移します。
網がある場合は、シュリンプを網ですくい、水合わせに使った水はできるだけ水槽へ入れずに移します。
網がない場合でも大丈夫です。
まず、シュリンプを容器に残したまま、容器の水をゆっくりと慎重に捨てて、水量をできるだけ少なくします。
このとき、シュリンプが突然飛び跳ねることがあります。容器の水を直接流しや排水口へ流すことは避けてください。誤ってシュリンプまで一緒に流してしまうおそれがあります。
水量をほぼゼロに近いところまで減らしたら、水槽の水を少量容器へ入れ、その水と一緒にシュリンプを水槽へゆっくり流し入れます。
無理にシュリンプを追いかけたり、手でつかんだりする必要はありません。最後は水の流れを使って、やさしく水槽へ移してあげましょう。
3.水槽へ入れたあとは、しばらく様子を見よう
水槽へ入れた直後のシュリンプは、盛んに水槽内を泳ぎ回ったり、逆に物陰へ隠れてじっとしていたりすることがあります。
どちらも、環境が変わった直後には見られる行動です。
しばらくすると新しい水槽にも慣れ、少しずつ落ち着いてきます。
特にオスは、水槽へ入れたあとも活発に泳ぎ回ることがあり、半日くらい泳ぎ続けている個体もいます。
すぐに落ち着かないからといって、慌てる必要はありません。
餌はすぐに与えなくても大丈夫です
水槽へ入れた直後は、餌を与えても食べないことが多いため、すぐに餌を与える必要はありません。
エビは体が小さく、たくさんのエネルギーを蓄えておくことができる生き物ではありませんが、1〜2日程度餌を与えなかったからといって、それだけで死んでしまうことはありません。
そもそもチェリーシュリンプは、私たちが与える餌だけを食べて暮らしているわけではありません。
水槽の中にある苔やバイオフィルムなどを、一日中ツマツマしながら食べています。
そのため、投入直後に餌を食べなくても、慌ててたくさん与える必要はありません。
底床や水草などの表面をツマツマとついばみ始めているようなら、少しずつ新しい環境に慣れてきたサインです。
その場合は、様子を見る意味でも、ペン先程度のごく少量の餌を与えてみてもよいでしょう。
まだ泳ぎ回っていたり、反対にじっとしたまま動かなかったりする場合は、無理に餌を与えず、その日は一晩様子を見てください。
最初の2〜3日は、餌を与えた1時間後に確認しよう
翌日以降、ツマツマと餌を探すようになったら、少量から餌を与え始めます。
最初の2〜3日は、餌を与えてから1時間後にもう一度確認してみましょう。
ここで見るのは、「1時間以内に食べ切ったか」だけではありません。餌の残り方と、シュリンプがその餌にまだ集まっているかを一緒に見ます。
まだ多くのシュリンプが餌に集まって食べ続けていても、「まだ食べている=餌が足りない」という意味ではありません。その場で追加せず、まずはそのまま様子を見ましょう。
餌が残っているのにシュリンプが離れているようなら、次回は少し量を減らしてみます。ただし、その餌を今はあまり必要としていなかったり、単純に好みではなかったりすることもあります。
1時間より早くほとんど食べ終わった場合も、その場ですぐ追加する必要はありません。同じような食べ方が何度か続くようなら、次に与える量を少しずつ増やしてみてください。
1時間というのは、「この時間までに食べ切らせる」という意味ではありません。餌の量や食べ方を考えるための観察時間です。
こうして最初の数日はシュリンプの様子を見ながら、その水槽に合った餌の量を少しずつ探していきましょう。