SHRIMP ENCYCLOPEDIA / ECOLOGY

淡水シュリンプは何を食べている?    -ツマツマする理由と食性

SHRIMP ECOLOGY — FEEDING BEHAVIOR

水槽の中で一日中「ツマツマ」。シュリンプたちは、いったい何を食べているのでしょうか。

水槽の中のシュリンプを眺めていると、
水草をツマツマ、流木をツマツマ、底床をツマツマ。

餌を与えていないときでも、
かなりの時間を何かについばむように過ごしていることに気づきます。

この愛らしい仕草は、
シュリンプを飼育している人の間では、
よく「ツマツマ」と呼ばれています。

では、シュリンプたちは一体何を食べているのでしょうか。

淡水シュリンプは何を食べる?

チェリーシュリンプやビーシュリンプなどの淡水シュリンプは、
デトリタスを重要な餌として利用する食性を持っています。

ただし、デトリタスだけを食べているわけではありません。

細かな有機物や藻類、バイオフィルム、
さらにそこにいる微小な生き物など、
身の回りにあるさまざまなものを食べる
雑食性の生き物です。

実際、チェリーシュリンプの食性を調べた研究でも、
デトリタスだけでなく、藻類や線虫、微小甲殻類など、
さまざまなものを利用していることが確認されています。


水槽の中で一日中見られる「ツマツマ」は、
こうした小さな食べ物を探している採餌行動です。

そもそも「デトリタス」って何?

デトリタスとは、
落ち葉や枯れた植物、生き物の死骸や排泄物などに由来する、
細かな有機物のことです。

自然の川や池では、
落ち葉や枯れた植物などが水中に入り、
少しずつ分解されていきます。

その周囲には細菌などの微生物も増え、
さまざまな小さな生き物が集まります。

こうしてできるデトリタスとその周辺は、
水中で暮らす多くの小さな生き物にとって、
重要な餌場になります。

淡水シュリンプも、そのような場所を歩き回りながら、
小さな食べ物を絶えず拾い集めています。

シュリンプにとって、水槽全体が餌場

自然界で見られるこうした食生活は、
水槽の中でも基本的に変わりません。

水草、流木、石、底床、ガラス面。

私たちには何もないように見える場所にも、
時間が経つと微細な藻類や細菌などからなる
バイオフィルムが形成されます。

さらに、底床や物陰には細かな有機物がたまり、
さまざまな微生物や小さな生き物も暮らしています。

シュリンプは水槽の中を歩き回り、
こうした場所の表面をツマツマしながら食べ物を探しています。

シュリンプにとって、水槽全体が大きな餌場なのです。

人工飼料を食べ終わったあと、
すぐに水草や流木をツマツマし始めるのも不思議なことではありません。

シュリンプにとって食事とは、
決まった時間に与えられた餌を食べるだけのものではなく、
身の回りにある小さな食べ物を探し続けること
でもあるのです。

シュリンプは「腐ったもの」が好き?

シュリンプを飼育していると、
少し傷んだ水草や、
水槽に入れてから時間が経った落ち葉に
たくさん集まっていることがあります。

その姿を見ると、

「シュリンプは腐ったものが好きなの?」

と思うかもしれません。

まったくの見当違いというわけではありませんが、
少し意味が違います。

落ち葉などの有機物は、
水の中で時間が経つにつれて少しずつ分解され、
柔らかくなっていきます。

その表面には微生物やバイオフィルムも発達していきます。

そのため、分解が進んだ落ち葉の周辺は、
シュリンプにとって
さまざまな食べ物が集まった豊かな餌場
になります。

水に入れたばかりの乾いた葉にはあまり興味を示さなかったのに、
数日経つとシュリンプが集まり始めることがあるのは、
このためです。

では、人工飼料は必要ない?

水槽全体が餌場なら、

「人工飼料は必要ないのでは?」

と思うかもしれません。

もちろん、そんなことはありません。

人工飼料は、
シュリンプにさまざまな栄養を安定して与えることのできる便利な餌です。

ただし、シュリンプの食生活を
人工飼料だけで考えないこと
が大切です。

よく育った水槽では、
人工飼料を食べていない時間にも、
シュリンプは藻類やバイオフィルム、デトリタスなどを
絶えず探して食べています。

反対に、立ち上げたばかりの水槽では、
こうした自然に利用できる食べ物が
まだ少ないことがあります。

同じ種類、同じ匹数のシュリンプを飼育していても、
水槽によって人工飼料への依存度が違ってくるのはそのためです。


人工飼料は大切な食べ物のひとつですが、
それだけがシュリンプの「餌」ではありません。

稚エビの食事

生まれたばかりの稚エビも、
基本的には身の回りにある微細な食べ物を
ツマツマしながら成長していきます。

ただし、体の小さな稚エビは、
成体のように水槽の中を大きく移動して餌を探すことが
得意ではありません。

そのため稚エビにとっては、
自分のいる場所そのものが餌場になっていること
が特に重要です。

モスや水草、落ち葉、流木、底床などの表面に、
バイオフィルムや微細な食べ物が豊富に存在すれば、
稚エビはその場でツマツマしながら餌を得ることができます。

成体から生まれたばかりの稚エビまで、
淡水シュリンプが水槽のさまざまな場所で
絶えずツマツマしている姿。

それは単なるかわいらしい仕草ではなく、

身の回りにあるさまざまな食べ物を利用して暮らす、
淡水シュリンプの食性をよく表した行動なのです。

SOURCES

参考にした主な資料

  • Weber, S. & Traunspurger, W. (2016).
    Influence of the ornamental red cherry shrimp Neocaridina davidi
    (Bouvier, 1904) on freshwater meiofaunal assemblages.

    Limnologica, 59, 155–161.
  • Viau, V. E. et al. (2020).
    Breeding and life cycle of the ornamental freshwater shrimp
    Neocaridina davidi in a biofilm-based culture system.

    Aquaculture Research.
  • Yam, R. S. W. & Dudgeon, D. (2005).
    Stable isotope investigation of food use by Caridina spp.
    (Decapoda: Atyidae) in Hong Kong streams.

    Journal of the North American Benthological Society,
    24, 68–81.

※淡水シュリンプの食性は、種や生息環境によって違いがあります。
本記事では、チェリーシュリンプ類とビーシュリンプ類に共通して見られる
基本的な採餌生態を中心に紹介しています。